喉の小骨
北京五輪バドミントン女子ダブルスで、世界ランク1位の中国ペアを破って4位になった末綱聡子・前田美順(みゆき)ペア(NEC・SKY)に、日本バドミントン協会が銅メダル並みの報奨金を検討しているという報道があった。
日本初のベスト4入りに、関係者の間では「限りなく銅に近い」という評価があるそうで、協会は「銅」より1円少ない299万9,999円を9月の理事会に諮る考えだという。
前回のアテネ五輪を制した世界のトップを相手に攻めまくった「スエマエ」の健闘には、心から拍手を送る。表彰状も賞金も悪くはない。だが、協会が、と聞くと、喉奥に小骨が引っかかったような気分になるのだ。
この競技には人気者「オグシオ」の存在がある。スエマエが金星を挙げた同じ準々決勝で、小椋久美子・潮田玲子ペア(三洋電機)は、もう一組の中国ペアに敗れた。ここで立場が逆転するまで、スエマエは長い間、オグシオの陰に隠れていた。
末綱が前田とペアを組んだ4年前、オグシオはすでにアイドルだった。人気先行ぎみではあったが徐々に実力が追いついて、国内トップペアの地位をつかむ。オグシオは日本バドミントンの代名詞になった。
スエマエは歯が立たなかった。オグシオには連戦連敗。だが、厚い壁にはね返されているうちに、こちらも力を蓄えていく。気がつけば、目標としてきたペアとともに、北京五輪代表の座をつかんでいた。
五輪直前の7月、全日本実業団選手権でスエマエは3年ぶりにオグシオに勝った。ニュースは目立たなかった。なにごともなかったように、世間の視線は北京に向かった。この間、注目の的がオグシオであることに、いささかの変化もなかった。
両者の扱いに差がありすぎないか。喉の小骨の正体はこれなのだ。最新の世界ランクは、スエマエが五輪前の8位から6位に、オグシオが6位から9位にと、実力の評価が逆転した。力量に大きな差はないのに、これまでの待遇にはその何倍もの開きがあったように見える。
オグシオ人気はマスコミが勝手に作ったものだ、と協会は言いたいところだろう。その通りではある。だが、その人気に寄りかかって、オグシオを広告塔にしてきたのは、ほかならぬ協会ではなかったか。
今回の報奨金は、協会の粋な計らいなのか、ご都合主義なのか。それとも冷遇してきたスエマエへの罪ほろぼしなのか。
(2008.8.21.)
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